生産性の向上を目的とした業務のデジタル化で、経費の一部を補助してもらうことのできるIT導入補助金。
申請に向けた事前準備はとても大切です。
しかし、補助の採択がされた後の実績報告や効果報告も、同じくらい重要なことはご存知ですか?
これを怠ると、補助金の全額還付が必要になるケースもあるのです。
この記事では、IT導入補助金における要である、実績報告と効果報告について解説いたします。
特に、効果報告については、その内容や報告の流れを具体的にご紹介しましょう。
IT導入補助金の実績報告と効果報告とは
実績報告とは、ITツールを導入して実際に実施した事業内容を報告することです。
効果報告とは、IT導入補助金を活用した事業者が、採択後3年間(補助額によっては4年間)、一事業年度ごとに導入効果の報告をすることです。
ここでは、実績報告と効果報告の具体的な内容をお伝えします。
・実績報告と効果報告の違いはなに?
・実績報告で求められる情報
・効果報告では労働生産性と賃上げ目標達成状況を確認
実績報告と効果報告の違いはなに?
IT導入補助金が採択された際に必要となってくる、実績報告と効果報告。
ITツールを導入し、どのような事業を実施したのか、詳細を提出するのが実績報告。
これに対し、ITを導入して、労働生産性や賃上げ目標がどの程度達成できたのかを見極めるのが効果報告です。
順序としては、実績報告により補助金額が確定し、その後、年度ごとに効果報告を行い結果が目標値に達しているか報告します。
実績報告で求められる情報
実績報告は、導入事業者と、タッグを組んでいるIT導入支援事業者が協力して報告しなければなりません。
報告内容は、ITツール導入に関連する以下の情報です。
・契約内容
・請求内容
・納品内容
・支払い内容
・補助金を受け取る口座情報
例えば、請求書であれば請求日、請求元情報、請求先名、請求金額の合計が記されていること。
かつ、ITツール名(製品名)や数量、そしてITツールの金額も記載します。
効果報告では、労働生産性と賃上げ目標達成状況を確認
効果報告の内容としては、大きく2つがあげられます。
それが、労働生産性の報告と、賃上げ目標達成状況の報告です。
労働生産性の報告では、以下の実績値が求められます。
・売り上げ
・原価
・従業員数
・年間の平均労働時間
これらの情報を、IT導入補助金申請の際に開設した「申請マイページ」に入力します。
すると、粗利益と労働生産性が自動で計算されます。
計画が未達成の場合は、その要因や改善方法の入力が必要です。
一方、賃上げ目標達成状況の報告では、以下の2点の入力が求められます。
・給与支給総額
・事業所内最低賃金
給与支給総額を入力すると、年平均成長率が自動計算されます。
もし賃上げ目標が達成できなかった場合、予定額の返還を求められることがあります。
IT導入補助金の効果報告の流れ
ここでは、IT導入補助金の効果報告の具体的な流れを解説します。
効果報告をするには、導入事業者とIT導入支援事業者、双方が対応することとなります。
・導入事業者が報告書を作成する3つのステップ
・IT導入支援事業者が申請内容を確認する4つのステップ
導入事業者が報告書を作成する3つのステップ
まず、導入事業者が効果報告書を作成します。
ステップは3つです。
① 申請マイページにログインする。
② 効果報告の宣誓事項を確認、同意する。
③ 必要事項を入力し、IT導入支援事業者へ報告書を提出する
この3ステップは、すべて申請マイページの画面の指示に従って入力していきます。
全て入力し「確認依頼」ボタンを押すと、IT導入支援事業者に内容が引き継がれます。
入力する必要事項とは、先にご紹介した労働生産性の報告と、賃上げ目標達成状況の報告になります。
IT導入支援事業者が申請内容を確認する4つのステップ
IT導入支援事業者の方では、導入事業者から提出された報告内容をもとに、4つのステップを踏んで手続きを行います。
① IT事業者ポータルにログインする
② 効果報告の宣誓事項を確認、同意する
③ 実績値の確認 (必要に応じて修正)
④ 導入事業者に提出依頼をする
こちらも全項目を入力後、ミスや漏れがなければ「確認完了」ボタンを押します。
すると、導入事業者へ引き継がれます。
もし訂正があれば、差し戻し、導入事業者が訂正、再度確認してIT導入支援事業者へ報告します。
訂正による差し戻しなどが全て完了した申請書は、導入事業者が事務局へ提出します。
提出後は事務局で審査が行われ、内容に不備がなければ、効果報告が完了します。
まとめ
IT導入補助金の採択がされた後、必要となってくる実施報告と効果報告について、具体的な内容や流れをみました。
実施報告、効果報告それぞれの過程で、必須要件が未達成、あるいは報告を怠るなどすると、補助金の一部または全額の返還を求められる場合があります。
効果報告では、導入事業者、IT導入支援事業者それぞれが確認することとなりますので、時間の余裕をもった提出を心がけましょう。
補助金の申請から、補助金額が決定する実施報告、そして年度ごとの効果報告など、IT導入補助金に関わる作業は決して少なくありません。
どのように進めていけばよいのか迷ったら、専門家に相談することも近道の一つと言えます。
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参考文献