中小企業が業務のデジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)で問題解決をしたいと思った時に役立つのがIT導入補助金です。
この制度では、補助を受けつつ、IT導入支援事業者と相談しながら最適なツールを導入し、自社のデジタル化を図ることができます。
実際、どのような活用事例があるのでしょうか。
今回は、中小企業がIT導入補助金を使ってどのように業務をデジタル化し、生産性を向上させたのか。
具体例をもとに解説したいと思います。
中小企業にとってのIT導入補助金とは
ITツールを導入して、DX=デジタル経営戦略を立てましょう。
そう聞いて、なんとなく業務をデジタル化するのだろうな、という解釈で止まってしまう中小企業の経営者は多いことと思います。
実際どのように手をつければ良いのかわからない、というのが本音ではないでしょうか。
しかも、コロナ禍明けで資金もそれほどない。
そんな時に活用すべきが、IT導入補助金なのです。
まずは、中小企業にとってIT導入補助金の何が魅力かをご紹介しましょう。
・ITツールの知識ゼロから導入可能
ITツールの知識ゼロから導入可能
中小企業にとって、IT導入補助金の最大の魅力は、ITツールの知識がなくとも始められる点です。
IT導入補助金では、費用の補助だけでなく、導入までのITツールの選択や、デジタル化できる業務の内容までIT導入支援事業者が相談にのってくれます。
もちろん費用も、この制度では、最大で導入費用の2/3、上限金額350万円まで補助を受けることができます。(デジタル化基盤導入類型で補助額が50万円超えの場合)
ですから、少ない資金で、費用を補助してもらいながら、生産性の向上のために最適なデジタル化を図ることができるのです。
事実、従業員100人以下の企業がIT導入補助金を使ってIT ツールを導入した場合、平均して10%ほどの生産性の向上が実現していると言われています。
中小企業のIT導入補助金活用事例
具体的に、IT 導入補助金でITツールを導入した企業は、どのように生産性が向上したのでしょうか。
次に、中小企業におけるIT導入補助金の導入例を業種別にいくつかみていきたいと思います。
・建設・土木業
・運輸業
・卸業・小売業
・飲食業
建設・土木業
従業員数54名、宮城県にある一般土木建築工事を行う会社の事例です。
抱えていた経営課題は、会計システムの混在や社員間の情報共有。
また、自社に最適な原価作成システムを判断できない点でした。
そこで、建設資材に関連するIT導入支援事業者と相談、工事原価システム「Neo 原価」を導入しました。
効率化された業務は、見積りや実行予算、協力業者の発注管理などのシステムを一元化。
また、他の現場の情報 がリアルタイムに把握できるクラウドシステムのため、テレワークも可能となりました。
成果としては、業務の効率化により、 正確でスピーディーな事務処理作業が行えるようになり、利益率が0.17%増加。
年間120万円のコスト削減を実現しています。
運輸業
従業員数46名、長崎県にある内航海運業などを営む会社の事例です。
経営課題は、船舶特有の事情で発生する膨大な書類や事務処理の効率化でした。
IT導入支援事業者のビジネスイノベーション会社を介して導入したのは、各船舶専用の「ノートPC」とMicrosoftのサービス「Office 365」。
そして全国各地の取引先の名刺管理ができるクラウド型名刺管理システム「ApeosPlus Cards R」です。
クラウド上のデータに直接入力できるようになり、書類の作成作業や受け渡しがリアルタイムでできるように。
成果として、作業量は約5割削減できました。
また、約9割もの書類削減に成功しています。
卸業・小売業
従業員数9名、東京都にある、お茶や自然食品の卸と小売を行う会社の事例です。
抱えていた経営課題は、販売管理業務を自社で行うことに限界があったこと。
また、売り上げデータを手入力していたことなどによる経営処理の遅れでした。
選択したIT導入支援事業者は、ビジネスイノベーション会社。
導入したITツールは、「PCA商魂DX with SQL Fulluse」 と「伝助」。
中小製造業向けの販売管理、仕入れ、在庫管理ソフトと、指定伝票発行システムです。
これにより、伝票発行業務を6分の1に短縮。
その他の成果としては、注文時のオペレーションが飛躍的に早くなり、顧客数が2割UPしました。
飲食業
従業員数41名(パート含む)、和歌山県で、お弁当の販売を営む飲食会社の事例です。
抱えていた経営課題は、対面接客によるケアレスミス。
また支払いも現金のみ、伝票は手書きのため、オーダーミスも発生。
現場の肌感覚でのメニュー改定や価格見直しなど、売り上げ分析が不十分でした。
情報処理を得意とするIT導入支援事業者を介して導入したのは、POSレジ・オーダーシステム「tenpos Air(テンポスエアー)」です。
セルフ注文を確立し、レジ導入でミスが激減しました。
非対面化・キャッシュレス化も実現。
正確な売上データを瞬時に自動取得できるようになりました。
成果としては、会計ミスが9割削減したこと。
顧客単価も2割UPしました。
また、中小企業デジタル化応援隊事業も同時に活用し、売上データの分析などを実行。
販売実績に基づいたチラシ作成やメニュー改定が可能となりました。
まとめ
中小企業にとっての、IT導入補助金活用事例を具体的にご紹介しました。
どの企業も、ITツールを1つか2つ導入するだけで、業務の効率化と生産性の向上が実現しています。
業務のデジタル化、DXによる経営戦略といっても、構えることなくITツールを導入することで、かなりの経営改善が図れるのです。
IT導入補助金を活用すれば、費用の補助だけでなく、IT導入支援事業者のサポートが受けられる点も中小企業にとっては強い味方と言えるでしょう。
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参考文献
【[独立行政法人中小企業基盤整備機構] IT導入補助金 活用事例】
【[人材採用・人材募集ドットコム] 【最新!IT補助金】デジタル化の第一歩を踏み出すために押さえておきたいIT導入補助金制度のポイントとは?】